学校2日目の火曜日。
英会話は緊張するな、と思いながら学校に着いた。
テーマのある会話は、頭を使う。
自分の頭の中の知識を振り絞らないといけないし、かつ、それを英語で伝えないといけない。
脳を二重で使うこの作業で、僕は昨日エネルギー切れを起こしそうだった。
これと比べると、ホストファミリーとの会話はあまり気をつかわなかった。
日常の会話に少し慣れてきたこともあるが、
テーマ制ではないので、気楽に話すことができた。
自国の歴史を語れない
この日最初の英会話のテーマは、自国の歴史についてだった。
僕のクラスメイトの国籍は、ブラジル、ペルー、メキシコ、日本。
僕は、彼らにとって日本代表だった。
みんなそれぞれ、自国の歴史を語る。
クラスメイトは文法をミスしていることも多かったが、
会話としてはちゃんと成立していた。
何より、自国の歴史についてよく知っていた。
僕のターンになった。
まず、日本の歴史を端的に伝えることができない。
大和魂?卑弥呼? 戦争? 原爆?
正直、どこから伝えればいいかわからなかった。
そして、クラスメイトが最も知っているであろう歴史、原子爆弾…これを、当時の僕は英語で言えなかった。
日本の名産は?世界遺産は?
歴史だけではない。
日本の名産は?唯一、米(rice)が出てきたが、その後の会話が続かない。
なんで米って日本食の中心なんだっけ、と考えたら答えが出てこなかった。
当然、会話も続かない。
世界遺産は?
富士山(Mt. Fuji)は出てくるが、これもその後が続かない。
世界で何番目に高いのか、なんで世界遺産になった?といった周辺知識を知らないから、会話が弾まない。
京都の寺院もそうだ。
名前は知っているが、何年に建立されたのか、何があったのか、なんで世界遺産になったのか。
すぐに答えられなかった。
そして僕は気づいた。
そもそも英語というよりも、自国の地理や歴史に関して、致命的に知識が抜けていた。
だから当然、英語で話すことなどできなかったのだ。
世界史の知識が抜けている
次の時間は、『行きたい国』についてディスカッションした。
みんなそれぞれ行きたいについて答え、中には日本と言ってくれるクラスメイトもいた。
・寿司が食べたい
・桜が見たい
・サムライが見たい
・京都に行きたい
と言っていた。
日本のアニメや漫画のことも話していて、アニメはYouTubeでも見ていると答えていた。
日本のことを調べいて、本当に興味があるんだろうなと思った。
僕のターンになり、僕はイタリアと答えた。
イタリアにはローマのコロッセオ、ベネチアがあって行ってみたい、と答えた。
…それ以上深い知識が出てこなくて、ここで 僕のスピーキングが終わる。
先生が助け舟を出してくれる。
イタリアでは何の食べ物を食べたい?他に有名な観光地知ってる?と聞いてくれた。
僕はピザが食べたい!他はミラノやフィレンツェも知ってるよ! と答えたが、
その後の会話が続かなかった。
授業が終わり、 僕は知識を浅くしか知らないことに気づいた。
名前や単語は知っている。
しかし、それがなんで好きなのか、なんで有名なのか、その周辺知識は?
何も出てこなかった。
これは前の授業でも同じだった。
富士山は知っている。京都の寺院は知っている。
でもその周辺知識がまるで欠けていた。
単語だけ丸暗記しているようなものだった。
バンクーバーに来て日本史、世界史、地理を勉強する
僕は授業を終えて昼ご飯を食べた後、真っ先に図書館へ向かった。
日本語の本で、日本の歴史や地理について書かれたものを探す。
イタリアについて書かれたものを探す。
今日聞かれて答えられなかった質問をノートにメモして、自分で調べ、ノートに書いた。
そして、それを英語で言えるように練習した。
日本にきて日本史、世界史、地理を勉強するなんて、行く前に想像ついただろうか。
自分の無知を思い知りつつ、他の国の人たちが自国の歴史を語れることに、感心した。
クラスメイトにとって自分が日本代表に見えるからこそ、
自分がしっかり日本の歴史や地理を伝え、そして世界の歴史についても
意見を言えるようにならないといけない、と心から思った。
